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価格転嫁の現状と価格転嫁検討ツールと、AIでの価格転嫁相談

  • 2026年08月13日
  • 中小機構 中小企業支援アドバイザー 村上知也
kakakukentou202608

ここ数年、値上げが進みました。ただし、一度値上げに成功しても、引き続き仕入れや人件費は上がり続けています。継続的に価格転嫁を行っていくことが多くの事業者に求められています。

今回の記事では、価格転嫁検討ツールや、生成AIを使った価格転嫁の進め方などを紹介します。

引き続き価格転嫁が大きな課題に〜2026年中小企業白書

2026年の中小企業白書でも、引き続き「価格転嫁」について大きく取り上げられていました。中小企業・小規模事業者の仕入価格・販売価格の状況について確認すると、決して価格転嫁をしていないわけではありません。2020年のコロナ禍以降、売上単価DIは大きく上昇しています。多くの中小企業が価格転嫁に取り組んだ結果だと思います。しかし、売上以上に仕入単価DIはさらに大きく上昇しています。その結果、差し引きとしての採算DIはマイナスでずっと推移しています。
価格転嫁はしている、しかしまだまだ足りない、というのが現状です。

(出典)2026年版「中小企業白書」より引用

それでは実際にどの程度価格転嫁できているのでしょうか?数年前より着実に価格転嫁率は向上していますが、それでもコスト全般の53.5%となっており、半分近くのコストが転嫁できていないことがわかります。

特に原材料に比べて、労務費やエネルギー費の価格転嫁率はより低くなっています。

(出典)2026年版「中小企業白書」より引用

業種別で見ると、製造業の方が価格転嫁率は高く、建設、運輸・郵便、情報サービス・ソフトウェアの方が低くなっています。労働集約型になりがちな業種の方が価格転嫁は進んでおらず、労務費分が反映できていないことが考えられます。

(出典)2026年版「中小企業白書」より引用

価格転嫁検討ツールを使ってみよう【中小機構】

中小企業白書でも述べられていたように、価格転嫁は喫緊の課題となっています。そこで中小機構では、ブラウザのみで使える価格転嫁検討ツールを提供しています。以下のURLからアクセスして、ぜひ一度ご活用ください。

https://kakakutenka.smrj.go.jp/kakakukentou/index.html

入力するステップとしては、以下のようになっています。

1.コスト高騰前の情報入力:以前のコストが値上がりする前の原価や費用を入力します。
2.現在の情報入力:次に、最近のコスト高騰後の原価や費用を入力します。
3.コスト高騰の影響確認:その結果、どれくらい影響が出ているのかを確認できます。
4.参考価格の確認:最後に、どれくらい値上げすべきかの参考数値が提示されます。

以下の図表は、2.現在の情報を入力する画面です。

その結果、3.コスト高騰の影響確認ができます。
以下の図表では、全体で利益は出ているものの、特定の大口取引先ABCD社では営業赤字になっていることを示しています。
この後、4.では値上げに向けての参考数値を示してくれます。

AIに価格転嫁を相談してみよう

ここまで中小機構の価格転嫁検討ツールでできることと、使い方の概要を説明しました。便利なツールですので、ぜひ一度使ってみてください。

その上で、最近は生成AIツールも進化していますので、上記のような価格転嫁の相談はAIで対話式に行うことも可能です。今回は、Geminiに以下のように現状の情報を入れて、価格転嫁について相談してみました。

今までは電卓を叩きながら金額を計算していましたが、AIが値上げ幅などを提案してくれました。以下の例だと利益は−4.2百万円です。この分を取り返すには、全体的に20%程度の価格転嫁が必要になりそうです。

ではその中で売上の50%を占めるABCD社への価格転嫁を3パターンに分けて、提案してもらいました。

シナリオAは最低限、売上原価の値上がり分のみの転嫁をお願いしています。その場合の請求額をシミュレーションしてくれました。これではまだだいぶ転嫁額が不足していますね。

さらに、シナリオBでは原価や販管費も含めて、転嫁する場合のシミュレーションを、シナリオCでは全社の減益分を全て、ABCD社にお願いするシミュレーションをしてもらいました。

さすがにシナリオCは条件が当社にとって有利すぎるので、シナリオBを目指していくことになりそうですね。  
あわせて、価格転嫁交渉を有利に進めるためのアドバイスもしてくれました。
落としどころを考えつつ、エビデンス(証拠)を整え、パートナーシップをアピールしていくことがアドバイスされました。

まとめ

価格転嫁を行っても、それ以上に、円安や人件費の高騰でさらに原価や費用が膨らんで、結果的に利益が減少している中小企業は増えています。

価格転嫁は一度行って終わりではなく、継続的に実施していくことが必須になっています。

継続的に行っていくためには、どうしても社内の原価や費用を正確に把握していくことが求められています。数値さえ把握できていれば、中小機構の価格転嫁検討ツールを使ったり、生成AIを使うことで、どの程度価格転嫁をお願いすればよいかアドバイスしてくれます。

継続的に数値を把握していくためには社内システムの整備が一番有効ですので、業務効率化のためだけではなく、数値を把握して経営品質を高めていくためにも、デジタル化を進める必要性はますます高まっていると言えるでしょう。

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