共通テスト2026年の「情報」はどのような出題がされているか? 〜高校生のうちから情報を勉強している時代に
- 2026年04月21日
- 中小機構 中小企業支援アドバイザー 村上知也
- 共通テスト

昨年から大学入試の共通テストに「情報」という科目が追加されました。現在は理系・文系を問わず、すべての生徒が高校でデジタル化について学ぶようになっています。
国としても、国民の情報リテラシーを高めようという強い意欲がうかがえます。高校で「情報」を履修していない社会人の皆様も、現在の高校生がどのような内容を学んでいるのか、一度「情報」の試験問題に目を通してみませんか?
共通テストに変わり、さらに情報も加わった
かつての大学入試は「共通一次試験」でしたが、私はその後の「センター試験」を経験した世代です。そして2021年からは「共通テスト」へと名称が変わり、さらに昨年度からは「情報」という科目が新たに追加されました。
昨年末に帰省した際、受験生の姪から「情報の問題を教えてほしい」と頼まれました。大学入試に情報科目が導入されたことは知っていましたが、実際に問題を解いてみて、その内容の難しさに大変驚きました。
これは非常に大きな変化ではないでしょうか。今の高校生は、若いうちから「情報」という分野に深く触れ、社会へと羽ばたいていくわけです。社会にはまだITを苦手として避けている方が多くいらっしゃる一方で、幼少期からスマートフォンに親しんできたデジタルネイティブ世代は、学問としても体系的に「情報」を学んでいます。
私たち社会人も、改めてITやデジタルといった「情報」の知識をアップデートしておかなければ、あっという間に彼らに追い抜かれてしまうかもしれません。
そこで、文部科学省が提示している「大学入学共通テストへの『情報Ⅰ』の導入について」の内容を確認したうえで、今年の「情報」科目ではどのような問題が出題されたのか、見ていきたいと思います。
大学入学共通テストへの『情報Ⅰ』の導入について
文部科学省「大学入学共通テストへの『情報Ⅰ』の導入について」
https://www.mext.go.jp/content/20211021-mxt_daigakuc02-000018569_3.pdf
掲載されている内容を要約すると、以下のようになります。
AIやビッグデータの活用が急進する「Society 5.0」の到来により、現代社会のあり方は大きく変容しています。こうした変化に対応するため、教育現場では情報技術を適切に扱う力の育成が急務となりました。これを受け、高等学校では「情報Ⅰ」が必履修科目となり、すべての生徒が問題解決に向けた情報活用の基礎を学ぶ体制が整いました。また大学教育においても、文理を問わずすべての学生が身につけるべき教養として、数理・データサイエンス・AIに関する教育プログラムの共通化と普及が進んでいます。
「情報」と聞くと理系の分野という印象を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、すべての生徒が学ぶ必修科目となった意義は非常に大きいものです。いまや、誰もが一定以上の情報リテラシーを備えていなければならない時代になったと言えるでしょう。
また、文部科学省が掲げるデジタル人材育成の目標では、2025年までに150万人の「リテラシー層」、25万人の「応用基礎層」、そして2千人の「エキスパート層」、さらには100人の「トップクラス層」を育成するとしています。
以前から高校生の中に「情報」のトップ層は存在していましたが、これからはより多くの人々が標準的に情報リテラシーを身につけていくことになります。これは、社会全体にとって非常に良い変化ではないでしょうか。
2026年の共通テスト「情報」の問題を見てみる
では、実際にどのような内容を学んでいるのでしょうか。今年の共通テスト(情報Ⅰ)の問題について、筆者も解いてみましたので、概要を共有します。
まず驚かされるのはそのボリュームです。試験時間は60分ですが、問題用紙は34ページにも及び、小問数は46問にのぼります。マークシート方式のため選択式の問題が中心かと思いきや、実際には国語のような長文の読解問題が多数出題されています。正直なところ、私自身が取り組んでも60分では解き終わらないと感じるほどの分量でした。
全体の出題傾向としては、第1問こそ基礎知識を問う問題が中心ですが、第2問以降は「思考力」を試す内容へとシフトしていきます。
特に、ITパスポート試験などではあまり深く扱われない「2進数」や「論理演算」がしっかりと出題されている点は注目に値します。これらは数学と言うわけではありませんが、コンピュータの仕組みを理解するうえで不可欠な「数字的素養」として重視されているのでしょう。
また、統計に関する問題も単なる計算問題ではありません。例えば、「Webサービスの会員登録で生年月日を入力する際、初期値が1900年1月1日のような遠い日付だとユーザーが不便に感じる」といった、日常的に遭遇するシーンを題材にしています。ユーザーの属性データに基づき、どのように初期値を設定するのが最適かといった「情報デザイン」の視点まで問われているのです。
プログラミングの問題では、一般的な言語で見られる「if」や「for」といった構文は登場せず、日本語の文章表現を用いて論理を組み立てる形式でした。
具体的には、体験型ゲームにおける「一人あたりの体験時間」を決定するプログラムを作成する問題などが出題されています。受験生は、与えられた複雑な制約条件を正確に読み解きながら、最適な処理手順を考えていく必要があります。
単にコードを書くスキルではなく、現実の課題をどのようにデジタルな手順に落とし込むかという「論理的思考力」が、問われているのだと感じました。
まとめ
以前から「知識詰め込み型の試験から、思考力を問う試験へ」という改革が進められてきましたが、情報科目においても、知識より思考力を問う出題内容になっていることには驚かされました。
社会人が受験する「ITパスポート試験」は、幅広い知識を網羅的に確認する形式ですが、実社会での実践的な課題解決という点では、この共通テストの問題の方がより役立つのではないかと感じるほどです。
実際の試験問題は、著作権等の処理が終了し次第、大学入試センターのページにて掲載されます。今の教育がどのような方向を目指しているのかを知るためにも、興味のある方はぜひ一度、目を通してみてはいかがでしょうか。