データマネジメント試験が登場する!?〜情報処理技術者試験が変わる
- 2026年04月15日
- 中小機構 中小企業支援アドバイザー 村上知也
- 情報処理技術者試験

情報処理技術者試験は大きく変わる予定です。CBT(コンピュータによる受験)が中心となり、資格制度自体も見直されていく見込みです。
現時点ではまだ検討段階ではありますが、今後どのように資格制度が変わっていくのかを確認していきます。
CBTに変わっていく
令和8年度(2026年度)の応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験は、受験者の負担軽減や利便性向上を目的として、順次CBT(Computer Based Testing)方式に移行していくことが、2月に発表されました。
ただ試験については、試験区分に変更はなく、従来の春期試験で実施していた試験区分を「前期試験」として2026年11月頃に実施される予定です。また、秋期試験で実施していた試験区分を「後期試験」として2027年2月頃に実施予定です。
CBTになることと、実施時期のずれ込みが現時点の発表内容です。
CBT:CBT(Computer Based Testing)方式。紙のマークシートではなくコンピュータのディスプレイに問題が表示され、マウス・キーボードで解答する。
情報処理技術者試験の試験内容も変わる!?
2026年3月末に、情報処理技術者試験における新試験制度の概要について、IPAより検討案として公表されました。
ただし、試験内容の詳細や出題範囲については引き続き検討段階であり、今後変更が生じる可能性があります。
今回は、検討の出発点に立ち返り、経済産業省が2025年12月に公開している資料「半導体・デジタル産業戦略の今後の方向性」の中から、情報処理技術者試験の見直しに関する方向性を確認していこうと思います。
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/semicon_digital/0014/handeji14-4.pdf
P.100にて、情報処理技術者試験の見直し概要(検討案)が提示されています。
このスライドで提示されている4つの変更ポイントを確認していきます。
①データマネジメント試験(仮称)の新設
AIを活用するためには、データを活用可能な状態に整備・管理する必要があり、このスキルを習得して、評価するための新たな試験になるようです。
データマネジメントはどういったことをこなす内容になるのでしょうか。これについては別の資料で提示されていますので、後述します。
②ITパスポート試験の最適化
すべての人が変化を敏感に捉えられるようにDXのマインド・スタンス、データマネジメントの基礎に関する出題が追加され、AI時代に対応した倫理の出題が強化されるようです。
前述のデータマネジメントの触りがITパスポートでも出題され、AI関連の出題も増えていくことになりそうです。
③応用情報・高度試験の再編
スキルの変化に柔軟に対応できるように、「土台」となる幅広いスキルを身につけるため、応用情報技術者試験と高度試験を、「マネジメント・監査」「データ・AI」「システム」の3領域に再編するようです。
④試験実施方法の変更
こちらはすでに発表されていますが、CBT方式に適した出題方式へ見直されるようです。なお論述試験のあり方は継続検討です。
全体の変更内容として、P.101にて、情報処理技術試験の見直しイメージ(検討案)が提示されています。
やはりデータマネジメント試験(仮称)の新設が大きな変化ですね。
データマネジメントとは何を求められているのか?
「Society 5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会 報告書」の内容から、データマネジメントで何が求められているのかを整理したいと思います。
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/society_digital/20250523_report.html
上記報告書でサマリーのスライドは以下の内容となっているので、内容を整理していきます。
データマネジメントの重要性
近年、企業においてデータに基づいた意思決定の重要性が急速に高まっています。AIやデジタル化が進む中で、企業が競争力を高めるためには、社内データを有効に活用する体制づくりが不可欠です。
しかし実際には、多くの企業でデータが部署ごとに分断される「データのサイロ化」が起きており、十分に活用されていないケースも少なくありません。日本企業がデータ活用による成果を生み出すためには、まずデータの整備と管理体制の強化が重要になります。
日本企業が抱えるデータ活用の課題
企業でデータ活用が進まない背景には、主に次のような問題があります。
●データが部門ごとに分散し、統合されていない
●データ分析以前の「前処理」に多くの時間が費やされている
●データの品質管理や運用ルールが整備されていない
特にデータサイエンティストは、本来は分析や高度な意思決定支援を行う専門人材ですが、実際にはデータ整備などの前工程に多くの時間を費やしているという指摘もあります。
そのため、データを「活用できる状態」に整備・管理するデータマネジメントの仕組みが重要になります。
データマネジメントを担う人材
データ活用を推進するためには、主に次の2種類の人材が重要とされています。1つ目は、データマネージャーです。データマネージャーは、企業全体のデータ活用を推進する役割を担います。
企業内のデータの現状を評価(アセスメント)し、活用目的に応じたデータ整備を指揮し、組織横断で関係者を巻き込み、プロジェクトを推進し、データ運用の品質を監視・評価・改善する役割だとされています。
つまり、データ活用の戦略と運用をリードする役割です。
2つ目は、 データエンジニアで、データ活用のための実務的な基盤を支える人材です。
データの探索・収集・抽出や、データ加工・整備、データ品質の維持管理、データ活用のためのルール整備、データの利用方法を示すドキュメント整備を役割とします。
ビジネス部門がデータを活用できるようにするための技術的・運用的なサポートを担うことになります。
こうした人材を育成するため、国家資格としての試験制度の整備が検討されているわけです。
データマネジメントは、今後の日本企業の競争力を左右する重要なテーマです。
企業においても、データマネージャーとデータエンジニアの役割を明確にし、組織としてデータ活用を推進する体制づくりが求められています。
データマネジメントに期待される役割
では、具体的にデータマネジメントは何をするのでしょうか?経済産業省の「データマネジメント人材の育成に関するタスクフォース」の資料を確認します。
社内外の様々な登場人物とデータに関して連携しながら進める役割が提示されています。これはユーザ企業側の役割としてはなかなか大変そうですね。
人事や会計、生産から物流といった基幹システムがある中で、どのように各システムでデータを持たすのか、そして連携させていくのかといった重い課題にも直面しそうです。ただしこの内容をマネジメントできれば、ユーザ企業の中での価値はかなり高い人材になるのではないでしょうか。
まとめ
データマネジメント資格は、高度な技術者向けの資格ではなく、企業内でデータ管理を担える人材の育成を目的としたユーザ向け資格になると考えられます。
情報セキュリティマネジメント資格と似た位置づけになるのではないでしょうか。こちらも、企業内でセキュリティ管理を担う人材を対象とした資格です。
今後は、企業内でデジタル人材を育成していくことが、企業の成長における重要なポイントになると考えられます。特に、データとセキュリティの分野は一層重要になるでしょう。
資格取得そのものが目的になってしまってはいけませんが、社内におけるデジタル人材育成の一助としては、取り組みやすい資格になると予想されます。