特集

データドリブン経営のシステム基盤に欠かせない「BIツール」とは?

  • 2026年06月01日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 山中弘重
  • データ分析

BI(Business Intelligence)ツールとは、社内に存在するCSVやExcel等のファイル、データベース、各種クラウドサービスといった様々なデータを収集・分析して視覚化するためのツールのことです。売上分析、生産分析、顧客分析等、得られた分析結果を企業の経営・事業活動に活かすことで、さらなる向上を図ることができます。
分析元となるデータは、たいてい様々な形式で社内に散在しています。これらを1つに集約し、最終的に分析結果を人が直感的に把握しやすいグラフ等で表示する仕組みを構築できることが最たる利用メリットと言えます。企業活動において迅速かつ的確な意思決定が益々求められる中、ビッグデータの増加を背景にBIツールの必要性は年々高まっています。
今回は、的確な経営・業務判断に欠かせないBIツールについてご紹介します。

BIツールの主な機能と利用メリット

BIツールの機能はツールによって差があるものの、一般的には「データの取得」、「データの加工」、「データの分析」、「分析結果の共有」の4つに大別できます。まずはBIツールの主な機能について整理します。

【BIツールの主な機能】

1)データ取得・蓄積機能:

複数のシステム(ExcelCSV、業務システム、クラウドサービス等)から分析対象となるデータを取り込んで格納します。

2)データ加工・変換機能:

取得したデータを整形(クリーニング・正規化)し、分析や可視化に適した形へ変換します。

3)ダッシュボード・多次元分析機能:

グラフ、チャート等を用いてデータをわかりやすく一覧表示・更新します。集計データを基に深掘り(ドリリング)したり、条件や期間を変えてデータを切り替え(スライス&ダイス)たりして多次元的に分析できます。

4)レポート作成・共有機能:

分析結果をPDFExcelファイルとしてレポート出力したり、出力したレポートをチャット・メールで通知したりします。
 

次に、BIツールの主な利用メリットについて整理します。BIツールを活用することにより、リアルタイムかつオンデマンドのデータ分析基盤を組織内に構築できます。これにより意思決定の質の向上等、様々な利用メリットが期待できます。

【BIツールの主な利用メリット】

1)意思決定の迅速化・精度向上:

経営層・現場担当者を問わず、定量的根拠に基づいた意思決定が可能になります。感覚・経験だけによる意思決定と比べて、意思決定のスピードや質が向上します。

2)誰でも使える操作性で分析を実行:

原則プログラミングを必要とせず、GUIベースの操作でデータ分析・レポート作成が可能です。

3)リアルタイムにデータを可視化:

クラウドサービス等とのデータ連携を通じ、最新データを即座に可視化できます。タイムラグを抑えた判断が可能になります。

4)組織内データの一元化:

複数のシステムに分散していた組織内のデータを統合し、一貫性のある分析基盤を構築できます。

5)組織横断的なレポート共有:

部門間・組織全体で分析レポートを共有できるため、組織全体として共通認識を持ちやすくなります。

BIツールの種類と参考価格

BIツールには様々な製品・サービスが存在します。ここではツール選定の参考としてBIツールの種類と参考価格について整理します。

 

BIツールの種類について、分類の軸はいくつかの視点が考えられますが、一例として「提供形態による分類(オンプレミス・クラウド等)」が挙げられます。オンプレミス型のツールは、自社でサーバーを準備してそこにプログラムをインストールして利用します。自社でサーバーを設置するため、他のシステムと連携して利用する等、ツール活用の柔軟性が高い点がメリットとなります。一方で価格は相対的に高価格となります。次にクラウド型のツールは、自社でサーバーを設置せずに予め用意されたクラウド上のサーバーを利用します。そのため簡単に導入できる点がメリットとなります。ツール活用の柔軟性はオンプレミス型より下がる反面、価格は相対的に低価格となります。その他、オンプレミス・クラウド以外に、1台のPCにインストールして単独で利用するスタンドアローン型のツールもあります。個人や小規模な組織での利用に限定されますが、無料で利用できるツールも存在する点がメリットとなります。

 

最後にBIツールの参考価格ですが、オンプレミス型の場合、買い切りのタイプで数百万円~1,000万円近いものまで存在します。別途サーバー保守費用等で年額数十万円程度が必要となります。次にクラウド型の場合、初期設定費用として数万円〜数十万円程度が必要です。ランニング費用としては、1ユーザーあたり年額数万円〜10万円強程度かかるものまで存在します。

BIツールの選び方

BIツールは、社内に散在する様々なデータを1つに集約・分析できる点に大きな価値があります。その意味では、社内で利用している各種システムとスムーズにデータ連携できるかがツール選定のポイントの1つとなります。また近年は、専門スキルを持たない業務担当者が直接データ分析を行えるよう操作性に優れたセルフサービス型のBIツールが主流になりつつあります。しかし、専門の分析スタッフによる高度なデータ分析が必要となる場合、操作性以上に対応する分析機能の深さが重要となります。その意味では、操作性と分析機能のバランスもツール選定に欠かせないポイントと言えます。

 

その他、「BIツールの種類」で触れたように、提供形態(オンプレミス型・クラウド型)よっても享受できるメリットが変わってきます。提供形態に応じて初期費用・ランニング費用もまちまちであるため、自社の予算計画を踏まえつつ多面的な視点からツール選定を進めることが重要です。

関連おすすめ