中小企業の業務アプリ導入での悩み
著者は以前、システムインテグレーターで勤務していました。当時は社員数が1万人を超えるような取引先が中心でした。そのためシステムを導入する際には、パッケージソフトを活用しても、結局は大量に追加カスタマイズを行って導入していました。もちろん導入費用は高くなるわけですが、大手企業ならそれで良かったわけです。
一方で、中小企業、特に小規模企業となると業務アプリ導入の選択肢は限られます。大手企業のようにシステム会社の営業担当が訪問しに来て、提案してくれるわけでもありませんし、最近では、デモの実施も、対面は難しいので、オンラインなら対応可能です、と言われることが増えてきました。
小規模企業は業務アプリに大きなコストがかけられないため、すでに提供されているクラウドサービスを自分たちで選んで、導入するケースが多いと考えられます。とはいえ、出来合いのアプリではどうしても自分たちが使いたい仕組みになっていないことも多いです。アプリのカスタマイズにはコストが掛かりすぎるため、諦めてそのまま使うか、システムの導入自体を諦めてしまうことも多かったのではないでしょうか。
【業務アプリを選んでいくには】
そんな悩みを解決してくれる可能性があるのが、ノーコードツールです。プログラムが書けなくても、自分たちである程度自社専用のアプリを作ることができます。
ただし、誰でも導入できるわけではなく、ある程度のデジタルリテラシーが無いと導入するのは難しいです。外部に任せて作ってもらうのではなく、自社で構築・修正・運用していく体制が求められます。
ノーコードツールとは
ノーコードツールは、大きく分けて、Web系のものと業務系のものがあります。
Web系のサービスは、ホームページやネットショップの作成で、多くの方に馴染みがあるのではないでしょうか。
以下のカオスマップでも、ホームページ作成なら、ジンドゥー、WIX、Studioなど、ネットショップなら、BASE、STORES、shopifyなどが挙げられています。
(出典)株式会社ゼロイチスタート
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000086982.html
一方で本日紹介するのは、業務アプリを作りたいという目的に対応するので、上記カオスマップの中では、DXに分類されているサービス群です。KintoneやAppsheetが挙げられます。
業務アプリを導入するタイミング ~エクセル業務での限界
多くの中小企業ではエクセルやスプレッドシートなどの表計算ソフトでデータを管理しています。例えば、顧客情報や、製品の販売情報、営業担当の日報などの情報です。情報量が少ないうちはエクセルの管理で問題なくても、情報量が増えて、共有する社員が増えると、表計算ソフトではいずれ管理に限界がきます。
以下のように、複数のシートができて、いろんなシートのいろんな場所を更新するのは大変です。以前は、データ量が増えて、エクセルでの管理が難しくなると、同じマイクロソフトのアクセスでデータベース化を図ることが多かったです。
しかし、最近では社外からスマホを使って入力したいという希望も多く、クラウド型の仕組みが採用されることが増えています。
Kintoneを使ってみる 〜顧客の日報と販売管理の仕組みをつくる
それではクラウド型でデータベースが構築できるKintoneを試しに使ってみます。顧客情報に日報や、販売管理のデータも合わせて管理するようにします。
まずは、顧客マスタのサンプルデータをエクセルで用意しました。
(以下の内容はAIで生成したサンプルです)
また、商品マスタもExcelで用意しました。
このエクセルファイルをKintoneで読み込んで設定していくと、顧客管理マスタと商品マスタのアプリが生成されました。インターネットのクラウドサービスですから、社外からもスマホで閲覧・更新できるようになります。
ただこれだけではエクセルをネット上で共有できただけで、業務アプリらしくありません。そこで顧客日報管理と商品の販売管理の機能を追加します。
(1)顧客日報
顧客管理の仕組みに、訪問日ごとに日報を入力できるように変更します。以下はKintoneの開発画面です。顧客管理の下部に、日報管理機能を追加しました。
実際にデータを入れて確認してみると、顧客ごとに日報が管理できています。
(2)販売管理
続いて、販売情報を入力できる画面を作ってみます。
少し設定する項目が増えてきました。購入した顧客は、すでに登録済みの顧客マスタから情報を取得します。
また、購入する商品もすでに登録済みの商品マスタから取得します。商品名とともに価格もマスタに登録済みであり、後は受注した個数を入力すると合計金額が計算されます。
実際にデータを入力すると、お客様の購買履歴を一覧で管理できるようになりました。
このように従来は複数のエクセルシートで管理していたものをデータベースとして、管理できました。Webからアクセスもできるので、スマホでの閲覧・入力も可能です。 今回、Kintoneで実施した流れを確認しておきます。顧客管理のエクセル、商品管理のエクセルを読み込んで、マスタ画面を作りました。その内容に紐づけて、日報管理や販売管理の機能を構築しました。
操作に慣れるには、ある程度のトレーニングは必要ですが、コーディング無しで一定のアプリを作成することができました。
Appsheetを使ってみる
続いてGoogleのAppsheetでも試してみます。Googleではエクセルではなく、Googleスプレッドシートを使って、スマホアプリ機能を作成することができます。 例えば備品管理として、商品IDや商品名、商品カテゴリとその画像とバーコードを管理します。スプレッドシートで管理項目を作成しました。
その次のステップとして、スプレッドシートの拡張機能で「AppSheet」を選択して「アプリ作成」を選択します。
少しここから設定が複雑になりますが、以下のようにスプレッドシートの項目に対して、初期値や属性を設定してきます。
そうすると、スマホのAppsheetアプリを使って備品管理アプリとして利用することができます。
実際にスマホの画面から写真を撮影してバーコードを読み込んで、備品を登録してみます。
登録したデータがスプレッドシートに保存されました。写真データもスプレッドシートのフォルダに保存されていました。
現場の社員がスマホでデータを収集して、本部で確認するような利用シーンでは向いているのではないでしょうか。
まとめ
今回はノーコードツールとして、KintoneとGoogleAppsheetを紹介しました。どちらも無料で体験はできますが、実際に複数人利用で、企業内のアプリとして共有して使っていくには有料化が必要です。
両方とも、驚くほど簡単にアプリを作成していくことができます。ただ、アプリを1個作るだけでは、アプリ料金のもとは取れません。一人あたりの利用料金が設定されているので、多数のアプリを作れば作るほどお得になります。
社内がエクセルやスプレッドシートで溢れていて、業務やデータのつながりが悪いなと感じたときには、Kintoneでどんどんエクセルをアプリ化していくと、社内業務の効率化につながるのではないでしょうか。
またAppsheetでは、現場で入力をして、本社でデータを集めて管理したいといったニーズには向いているでしょう。
実際のアプリ作成については後日、動画で操作についても解説いたしますので、ぜひ一度試して頂き、ノーコードツールの可能性を体験してほしいと思います。
