3Dモデルに対応した「CAD/CAM」を導入して、設計・試作業務の効率化・高精度化を実現
- 2026年06月01日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 山中弘重
- 設計(製造業)

CAD(Computer Aided Design)とは、コンピュータを用いてデザイン設計すること、あるいはそのようなシステムのことを指します。従来、アナログで製図用紙に作成していた設計図面をディスプレイ上で作成することにより、製品モデルデータ(≒形状データ)として保存でき、他システムでのデータ活用が可能となります。次にCAM(Computer Aided Manufacturing)とは、CADで作成した製品モデルデータをもとに製造に必要な各種情報(工程・作業データ)を生成すること、あるいはそのようなシステムのことを指します。
CAD/CAMにより設計から製造(加工)までの情報を連携・統合することで、設計情報に基づく工作機械向け制御設定(NCプログラム)の作成負担等を軽減できます。これにより、主に製品企画・設計・試作段階における生産性向上・精度向上を実現できます。今回は、設計DXの主要な仕組みであるCAD/CAMについてご紹介します。
CAD/CAMの主な機能と利用メリット
CADにおいては、近年3DCADの普及が徐々に進んでいます。2次元の図面ではなく実物に近い立体的な形状で設計できるため、設計意図や構造を直感的に理解でき、顧客や関係者との認識の相違を大幅に防ぐことができます。3Dに対応したCAD/CAMの普及により、複雑な3D曲面の加工に対応したNCプログラムの作成が可能になる等、CAD/CAMの活用メリットもより高まっています。
そこで、まずは3Dモデルデータの活用を前提としたCAD/CAMの主な機能について整理します。
【CAD/CAMの主な機能】
1)モデリング機能:
部品や製品の3D形状を精密に作成します。表面のみで形状を表現するサーフェスモデリング、面に加えて質量や体積も表現するソリッドモデリング等の手法に対応しています。
2)アセンブリ設計機能:
モデリングした複数の部品をシステム上で組み合わせ、一つの製品全体を設計します。
3)自動フィーチャー認識機能:
3Dモデルデータから穴・ポケット等の加工形状を自動で識別します。
4)加工パス生成機能:
3Dモデルデータから加工を行う際の工具経路(加工パス)を生成します。
5)加工シミュレーション機能:
3Dモデルデータを基に、切削動作の可視化や工具と治具の干渉チェックを行います。
6)加工時間見積り機能:
作成した加工パスや条件に基づき、正確な加工時間を算出します。
7)工具ライブラリ管理機能:
工作機械で使用する工具の種類、刃径、切削条件をデータベース化して管理します。
8)ポストプロセッサ出力機能:
作成した加工パスを基に、各種工作機械向けに最適化したNCプログラムを生成します。
次に、CAD/CAMの主な利用メリットについて整理します。3Dモデルデータを活用することで、設計から製造にかけてデータ活用の柔軟性が高まり、様々な利用メリットが期待できます。
【CAD/CAMの主な利用メリット】
1)設計から加工までの一貫性を確保:
3DCADのモデルデータを直接読み込んで加工パスを自動生成するため、設計意図を忠実に反映した加工が可能です。
2)多軸加工への対応:
3Dモデルデータを基に加工パスを生成するため、特殊な曲面形状やアンダーカットといった複雑な形状の加工も実現できます。
3)加工エラーを低減:
3Dモデルデータをそのまま加工に利用するため、2次元の図面から読み替える際に生じ得る入力ミスや寸法解釈の違いを防止できます。
4)事前検証による段取り時間の短縮:
工具と治具の干渉チェックや加工時間の見積りを事前に実施でき、段取り時間を短縮できます。
5)設計変更への柔軟な対応:
3Dモデルデータと加工パスがリンクしているため、設計変更があれば加工パスに自動で反映されます。
CAD/CAMの種類と参考価格
CAD/CAMには様々なツールが存在しますが、ここではツール選定の参考としてCAD/CAMの種類と参考価格について整理します。
まずCADの種類ですが、一例として「汎用型CAD」と「業種特化型CAD」に大別できます。「汎用型CAD」とは、自動車、機械部品等、多種多様な分野で利用できるCADとなります。多分野での利用が可能な反面、特化した機能・性能には対応していないため、相対的に低価格で利用できる傾向にあります。一方、「業種特化型CAD」は、特定の業種の設計に特化したCADとなります。簡単な設計であれば「汎用型CAD」で十分に対応できますが、業種に特化した設計関連機能を必要とする場合、「業種特化型CAD」でないと対応できない場合があります。そのため、価格は相対的に高価格となります。なおCADの参考価格ですが、買い切り型のタイプで数万円のものから500万円以上のものまで様々なツールが存在します。
次にCAMの種類ですが、一例として「工作機械の種類」に応じた大別が可能です。一般的に、使用する工作機械に応じて最適なCAMソフトは異なります。多軸用マシニングセンター、3軸マシニングセンター、フライス盤、旋盤等、使用する工作機械に合ったCAMを選ぶことが重要となります。なおCAMの参考価格としては、買い切り型のタイプで数十万円のものから400万円以上のものまで様々なツールが存在します。
その他、今回は3Dモデルデータの取り扱いを前提としてCAD/CAMの種類や価格をご紹介しましたが、「業務で取り扱うデータが2Dモデルなのか3Dモデルなのか」によっても、最適なCAD/CAMは変わってきます。一般的に2Dモデルデータを基にした加工は相対的にシンプルであり、対応するCAD/CAMは低価格となる傾向にあります。このように業務で取り扱うデータの種類もツールを選定する上で重要な要素となります。
CAD/CAMの選び方
これまで示してきたように、CAD/CAMはツール選定のポイントが複数存在します。取引先や案件によって必要となる工作機械や加工手段が異なることを踏まえると、まずは主要な案件(加工内容)を中心に最適なCAD/CAMの種類を絞り込むことをお勧めします。その上で必須機能の有無や予算等を踏まえ、自社に合ったツールを選定するのが選び方の一例となります。