音楽教室の経営課題解決から AI活用へ広がる伴走支援の取り組み

  • 2026年03月19日
  • 二胡姫響(スクール経営)×那覇商工会議所
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沖縄県那覇市で中国の伝統楽器・二胡の教室を運営する二胡姫“響”は、多彩なイベントを通じて二胡の魅力を発信し、生徒数を伸ばしている一方で、講師不足やスケジュール管理など運営面の課題が顕在化していました。那覇商工会議所は教室の特性や運営スタイルを丁寧にヒアリングし、関係機関と連携して2024年に教室運営に適したITツールの選定を支援。その後、eラーニングシステム導入についても専門家と連携しながら複数回の支援を行っています。支援の経緯と導入効果について、上地エリサ代表と那覇商工会議所の小嶺若菜経営指導員にお話を伺いました。

【経営課題】生徒層の変化で運営管理にミスが出るように

上地さん 「当教室の生徒数は、本校が60〜65名、石垣島の分校が約10名です。以前はシニア層が中心でしたが、コロナ禍以降は30〜40代が増え、現在は20代から80代まで幅広い世代の方が通われています。嬉しい変化でしたが、困ったのがスケジュール調整でした。仕事や子育てと両立しながら通う人が増えたことで振替受講の調整が複雑になり、ダブルブッキングやレッスン料金の引き落としミスが起こり始めたのです。」

小嶺さん 「最初にご相談を受けたのは2024年です。ISCO(沖縄ITイノベーション戦略センター)さんと連携し、業務効率化につながるITツールの導入支援を行いました。」

上地さん 「母が役員を務めていることもあり、那覇商工会議所さんには以前からお世話になっていました。カルチャースクールで教えていた経験から講座を一括管理できる仕組みがあることは知っていましたが、私たちのように少人数で運営する教室に合うシステムが分かりませんでした。」

【IT導入】小規模な教室運営に適したITツールを選定 運用支援したツール:スクール管理システム 『スコラプラス』

小嶺さん 「スコラプラスの導入についてはISCOの専門家が中心的に支援を実施しています。WEB面談や導入時の補助金申請に向けた準備などはISCOさんが中心となってサポートしてくれました。」 

上地さん 「専門家の方は私たちのニーズを的確に理解し、費用感も踏まえながら、小規模教室の業務を効率化できるITツールを比較検討してくださいました。当教室では子ども向け学習塾のような機能は不要で、大人の生徒向けにスケジュール管理と口座引き落とし機能があれば十分。その条件の中で、ランニングコストとのバランスが最も良かったのが『スコラプラス』でした。提供元が愛知県の企業だったため、専門家がZoomで相手企業とのやり取りを整理してくださり、安心して進めることができました。」

小嶺さん 「導入時には沖縄県の補助金を活用しています。システム導入によって業務効率化が進んだことで、『遠方の生徒さんをどう受け入れるか』という次の経営課題が見えてきました。そこからは那覇商工会議所が中心となり、スコラプラスとの相性も踏まえた上で、eラーニングや生成AIの活用に向けた専門家との面談調整など、現在も継続的な伴走支援を行っています。」

上地さん 「申請に向けても専門家の方がポイントを抑えた助言をしてくださり、大変助かりました。」

【成果】ミスが激減! AI活用でさらに広がる事業の可能性

上地さん 「スコラプラス導入後、教室運営はかなり効率化しました。生徒管理を一元化できたことで連絡先や引き落としのミスが激減。スケジュールもアプリで共有できるようになり、『次のレッスンはいつですか』といった問い合わせがなくなり、運営側の負担が軽減しました。」

小嶺さん 「ご年配の方でも、アプリは問題なく使えていますか。」

上地さん 「LINEで対応することもありますが、概ね問題ありません。欠席時に別のクラスへ自動振替できる機能は若い世代に好評で、仕事の都合で来られなくても続けやすくなりました。講師側の調整は増えましたが、以前は忙しくなると辞めてしまう方が多かったので、大きく改善されたと感じています。SNS連携も可能になり、教室運営の幅が広がりました。」

小嶺さん 「投資した分、さらに生徒さんを増やしたいですよね」

上地さん 「実はそこが一番の課題です。この4〜5年で高齢化により引退する講師が相次ぎ、新たなレッスン希望者をなかなか受け入れられない状況でした。スコラプラスの導入により、生徒さんの年齢層や居住地、通学距離などが可視化された結果明確になった課題もあります。北部など遠方から車で1〜2時間かけて通っている方が意外と多く、『本当は二胡を習いたいのに距離や時間の問題で通えない人がいるのでは』と考えるようになりました。講師や時間数を大きく増やさずに、いかにたくさんの生徒を受け入れるかが新たな課題として見えてきました。」

小嶺さん 「昨年の夏に相談を受け、スコラプラスとも親和性の高い、生成AIを活用したeラーニング動画制作が可能なシステムの導入を検討しました。対面授業と併用することで講師不足の解消につながり、本島中北部・南部でのサテライト校運営も視野に入ってきました。」

上地さん 「現在、対面レッスンを月2回から1回にへらし、eラーニングで補完するという授業形態を確立できるよう教材やレッスンシステムを作っている最中です。遠隔地でも二胡を学べる環境づくりができるのではないかと考えています。そのレッスンシステム構築のために、さらに事業モデルに合うLMSを改めて検討中です。」

小嶺さん 「動画生成AIを活用した広報動画やレッスン動画制作にも取り組まれています」

上地さん 「最初に教えていただいたのが『NoLang』と『Google NotebookLM』です。Instagramに投稿していた画像をNoLangに入れるだけで、驚くほど簡単に動画がつくれました。自らの演奏を音源に使った動画も雰囲気良く仕上がり、『楽器を持ってないけど習えますか』といった初心者さんからの問い合わせが増えてきました。」

小嶺さん 「AIを活用した情報発信によって、教室の魅力がより具体的に伝わり、新たな層との接点が広がったのですね。」

上地さん 「いま構想しているのは、レンタル楽器とeラーニングを組み合わせたサービスです。楽器がなくても始められ、基礎を学べるeラーニングの仕組みに対面レッスンのチケットを組み合わせることで、教室に通うハードルを下げられるのではないかと考えています。」

小嶺さん 「上地さんは情報収集を楽しみながら積極的にIT化に取り組まれていて、私もとても刺激を受けています。今後も適切な専門家との橋渡しを担い、補助金の活用も視野に入れながら、さらなる支援を行ってまいります。」

【サポートノウハウ】主体性を支える専門家との連携支援

小嶺さん 「私たち経営指導員はITの専門家ではありません。だからこそ、単に専門家へおつなぎするのではなく、橋渡しをする前に事業者さんの経営課題をしっかりとヒアリングし、頭の整理をお手伝いすることが経営指導員の重要な役割だと考えています 。商工会議所には多様なIT専門家が登録していますので、課題を明確にした上で最適な専門家へおつなぎし、事業者さん・専門家・経営指導員の三者で対話を重ねることで、無理のないIT活用を目指しています 。今回のような意欲的な取り組みを他の事業者さんに共有していくことも大切な役割だと考えています。」

【事業者の声】効率化の先にある喜びと新たな価値

上地さん 「忙しい世代の女性がどうしたら趣味を続けていけるかという目線で相談に乗っていただけたことがありがたかったですね。私自身も新しい技術に触れ、『こんなことができるんだ』とワクワクする感覚が原動力になりました。経営上、業務の効率化は重要ですが、実はその先に時間の余裕が生まれ、誰かを喜ばせたり、楽しさを生み出したりすることにこそ価値があると思います。自分やスタッフがワクワクできるか、お客様を喜ばせられるか――そんな視点で取り組むことが、IT化の第一歩として自然なのではないかと感じています。」

▪️事業者
二胡姫“響” 
HP:https://nikohime-hibiki.com
所在地:沖縄県那覇市首里平良町2-12 暁ビル2F
代表:上地エリサ

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